とうとうと流れるネバ川沿いに立つエルミタージュ美術館は、パリのルーブル美術館に匹敵する世界屈指の美術館で所蔵品は300万点に及ぶと言われる。
中でも、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロなどイタリア・ルネサンス時代の作品からピカソやマチスの現代美術に至るまで時代を横断したコレクションには目を奪われる。
エルミタージュ美術館は、もとは皇帝の宮殿であった。 1000以上もの部屋からなり、展示物に見入っているうちに、どこにいるか分からなくなり、迷子になってしまうぐらいである。
エルミタージュと言えばエカテリーナ女帝である。ドイツ貴族の娘からロシア皇帝の妃として嫁いで来たエカテリーナは、やがて1762年、皇帝ピヨートル三世の失脚に伴い、ロマネフ王朝11代皇帝となったが、ヨーロッパ文明に近づけようとする夢を実現すべく、イタリア・ルネサンスの絵画、美術品のコレクションに力を注いだ。
しかも、国家予算を使わず、私費で集め、ロシアの若い画学生にそれらを開放したのである。『美』の前に身分、肩書きを一切排除したのである。 |