初秋の北陸路 　　（２００２年９月）

九月敬老の日をはさんだ連休を利用して、越前海岸から山代温泉へ行き、翌日は永平寺から九頭竜川沿いをとおって帰ってきた。 　不景気の影響か、連休だというのに山代温泉も九頭竜も観光客は少なく、高速道路もあっけないほどすいており、僅かに永平寺のみ混雑していた。苦しいときの神頼みならぬ、佛頼みなのだろうか。

この日の越前海岸は、風もなく波静かであった。 　海岸線にはシーズンになるとスイセンの花が咲き乱れる。 　　　「群れて咲く　黄水仙に　波しぶき」

名湯といわれる山城温泉も、連休にもかかわらず、観光客が少なく、以前のような活気が感じられなかった。店じまいをしたのか、明かりの消えた旅館やスナックもあちらこちらで見られた。 「草叢を　踏み分け行けば　虫の声」 「湯の町の　朝に虚しき　下駄の音」

永平寺だけは、参詣客で溢れていた。 　ここには両親が納骨されているので、お経をあげてもらった。久しぶりの親孝行。 「箒持つ　若き修験僧　息白く」 「門入りて　見上ぐる法堂　読経の声」

九頭竜ダムにつながるとうとうたる川の流れ。周りの山影を映し蒼く輝いてる。 「山影を　川面に映し　水蒼く」 「川滔々　釣り人一人　糸をたれ」 　瀬戸大橋の試作橋・箱ヶ瀬橋 　 昭和２４年（１９４９年）福井県奥越地方の豪雨の際、九頭竜川中流で土石流の中に埋もれていた樹齢約２０００年の欅の巨根を使い、約２年かけて作られた巨大欅の衝立。